君想う、ゆえに我あり















ふと窓の外を見たら、下の階を歩く君の姿が見えたんだ。



たった二枚のガラス窓と、その間の空間がとても遠く思えて、

おれの知らない先へと進む君が、おれの手の届かない所に行ってしまうのではと怖くて、

おれは君の元へと走った。







階段を駆け下りて、廊下を全力で走る。



途中でぶつかった先生が何か言ってた気がしたけど、おれの耳には届かなかった。



それよりも、これ以上君との間に距離が出来てしまったら、

もう届かなくなるんじゃないかと不安だった。







速く。


早く。







気持ちばかりが先走って、足が上手く動かない。


まるで自分の足じゃないみたいだ。







動け。


動け!











もう、大切なモノを失いたくないんだ。














君を失うのは














嫌なんだ。



















やっと見えた君の後ろ姿に、心臓が高鳴る。




早く声を掛けたいのに


声が出ない。




早く君に触れたいのに


手が伸ばせない。




もどかしい。


もどかしい。





君はそこにいるというのに・・・。















「・・・っ、っ!!」





やっとのことで絞り出した声に、君が振り返る。


少し驚いたように目を見開いて。


でも、すぐにいつもの笑顔に戻って。





「さあやくん!おはよっ!!」





その明るい声に、自然とおれも笑顔になる。





「おはよ〜」


「どうしたの?すっごく切羽詰まった声だったけど?」





不安な顔をしておれの顔を覗き込む君。


そんな姿も何だか微笑ましくて、さっきまでの不安定な気持ちが消え去っていく。





「あのね〜。上の階から窓を見たら、が見えたの。だから走ってきた〜」




いつもの調子で言うと「それだけ?」と目を丸くする君が可愛くて、

「それだけ〜」といって抱き付くと、顔を真っ赤に染める君。





「さ、さあやくん?!」


「もうちょっと〜」





君のぬくもりを確かめるように、回した腕に力を込める。



腕の中でもがく君を手放さないように。








強く。




強く。








「絶対に離さないから〜」




だからずっと側にいて?























FAX小説第2弾です。
今回は恋愛&さあやくん目線で書いてみました。
い、如何だったでしょうか・・・(ドキドキ)
タイトルはデ・カルトの「我思う、ゆえに我あり」から捩りました。
「貴女を想うことが自分の存在意義だ」という意味のつもりです。
そんな風に言われたら幸せですよね♪
頭湧いてる?
いやいや。いたって正常ですよ。
ただ、ちょっと妄想力・・・もとい、想像力が豊かなだけで。